ちょっと前にサルコジ大統領が、フランス料理を世界遺産に登録しようと提案したことがありましたね。僕は、いいとも悪いとも思わないですが、フランス料理が世界一というのは、ちと違和感を覚えます。しかしながら、残していきたい、作り続けていきたいお料理は、コックさんなら一つや二つあるんじゃないでしょうか?
 
僕が作り続けたいのは、パイ料理。最近めっきりこういったお料理を見る機会が減りました。重いのかな~、くどいのかな~、などと自問自答しないこともないんですが、いいんです。いろんなものが淘汰されていく世の中で威風堂々、どっしりとした風格、フランス料理の技法がいっぱいに詰まった素晴らしいお料理です。
 いろんなお肉でやってきましたが、今回は、雉です。しかもヨーロッパの雌雉です。人間で言うとパツキンのパリジェンヌです。
 雉というのは、”熟成”と言って少し寝かしておくと香り、味、ともに増してくるんです。熟成と腐敗は紙一重で、そこの見極めは経験としか言えません。基本的に私はジビエに関して、死後硬直が解けてすぐの新鮮な状態でお料理するんですが、雉は別です。まだ若い(新しい)状態では、独特の旨味やコクがないんです。そこを少し冷蔵庫で寝かせると、ググッとくるわけです。しっかり香りが出てきたときに、たっぷりのお酒でマリネし、細かく切って、パイで包んで焼くわけです。熟成香とお酒が合わさったときに、なんともいえない高貴な香りに変わるわけなんです。パイにナイフを入れたときに立ち上る香りは、本当に最高です。勃起します。

”こんな、くっさい肉をど~すんの?”と、修業時代に田舎の師匠がジビエを料理するのを傍から見てました。そんなくっさいお肉がお皿に載るころには、全く別物に変身してました。高貴な香りなんです。僕なんかはまだまだ小僧で師匠のような、あんなすごいジビエ料理は作れませんが、精進していきたいと思います。
  
 特に下ネタを絡めるわけでもない真面目なお知らせになってしまいましたが、この僕が、こんなに熱くなってしまうほどに素晴らしいお料理、素材です。