秋冬で散々ウンコ臭いジビエ料理にどっぷり漬かってきた当店のメニューですが

そろそろ在庫も底をつき、残すは小鳥たちをミンチにしてパイで包んだジビエのパイ包み焼きを残すのみとなっております。

いきなりノーマルなメニューにシフトするのもいいのですが、それじゃあまりに淋しいです。

当店にジビエシーズンだけいらっしゃるお客様にオフシーズンにもお越しいただくためには・・・

やはりマニアック路線は外せません。

奥の手を出します。

ヴェッシーというのは豚の膀胱でして、流通は基本的にありません。十年ほど前はあるにはあったらしいのですが、使う人がいなくなり、需要がなくなり、流通がなくなりました。
というわけで、膀胱を使ったお料理は、日本ではほぼ絶滅しておりました。
お客様のリクエストで私もいろいろと探しましたが、やはりないんです。
フランスにも問い合わせしてみましたが、冷たいお答え。
でも、芝浦では毎日屠殺されているはず・・・
んで、独自にルートを作りました。

膀胱を使うメリットはおしっこ臭いのを楽しむのでは決してありません。
お酒とともに袋状になっている膀胱に鳥を詰め込んでひもで風船のように縛ります。
そんでもって、コンソメにぷかぷか浮かべて優しくゆっくり火を入れるんです。
旨みが袋によって煮汁に流れ出ず、少ない水分で火を入れるので、旨みが濃いまま保たれます。
真空調理が発明される前のコックさんの偉大な知恵です。

袋を破ると濃い旨みを含んだ汁が出てきます。
それをしっかり煮詰め、フォアグラのピュレを溶かしこんでソースになります。

ジビエもそうですが、膀胱みたいな動物の臭みがアルコールによって高貴な香りに変身するんです。
不思議なもんですわ。
やはりフランス料理はスゲェ、と思う瞬間です。